SDGs17目標を達成できないとどうなる?

SDGsには17項目の目標があります。その目標達成期限を2030年までとしていますが、間に合わなかった場合、どうなってしまうのでしょうか

この記事では、SDGs目標未達成の際に想定される未来について触れながら、目標達成期限が2030年ではないケースの紹介、企業は17目標のすべてを達成すべきか、詳しく解説します。

SDGs目標未達成でも罰則はない

SDGsは、国連に参加する193か国が取り組む世界目標です。冒頭でも少し触れたとおり、目標は17項目に分かれており、達成期限を2030年までとしています

万が一、達成できなかったとしても法的拘束力はないため、罰則はありません。しかし、世界が抱えるあらゆる問題が、さらに深刻化することは想像に難くないでしょう。

たとえば、地球温暖化が進み、さらに気候の変動に悩まされる可能性があります。自然災害も、増加の一途を辿るかもしれません。

貧困の深刻化、特定の地域の人口増加、差別やハラスメント問題の増加、少子高齢化、世界的な経済危機、紛争や戦争の長期化などもありそうです。

日本のように平和で恵まれた国に住んでいると、2030年までに目標が達成されなかったとしても、自分には関係がないと感じてしまうかもしれません。

しかし、SDGsで掲げている目標が未達成なまま2030年を迎えた場合今より住みづらい地球になっていることは間違いないでしょう。

持続可能な地球の環境をつくるためには、これ以上問題解決を先送りにせず、一人ひとりが目標達成に向けて課題に取り組まなければならないのです。

2030年が達成期限ではないターゲットもある

先ほど、SDGsの目標期限は2030年とお伝えしました。

その情報に間違いはありませんが、目標1から17には169のターゲットが設定されており、一部のターゲットには2030年より早く達成期限が設定されているものがあります

それらは全体の1割程度ですので、数は多くありません。具体的にどのような内容なのか、見ていくことにしましょう。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」日本語版(外務省仮訳)から、3つに絞って引用します。

12.4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」日本語版(外務省仮訳)

上記は目標12「つくる責任 つかう責任」の4つ目に掲げられているものです。環境維持に関わる内容が含まれており、達成期限を2020年までとしてます

14.1 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」日本語版(外務省仮訳)

こちらは、目標14「海の豊かさを守ろう」の最初に掲げられているものです。海洋汚染を防止という言葉があるとおり、こちらも環境維持にまつわる内容です。目標達成期限は2025年までです。

17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。

「持続可能な開発のための2030アジェンダ」日本語版(外務省仮訳)

目標17は「パートナーシップで目標を達成しよう」がテーマですが、上記は11番目に掲げられており、目標達成期限は2020年までです。

2030年より早く目標期限を設定しているということはそれだけ問題が深刻であり、優先的に解決しなければならないことを意味します。

SDGsに取り組む際は、このような優先度の高い目標から取り組むのも1つです。

企業はSDGs17目標すべてを達成すべき?

企業としてSDGsに取り組む場合、17目標のすべてを達成すべきなのでしょうか。結論から言うと「17目標のすべてを達成しなければならない」というルールは定められていません

ここで重要となる考え方は、自社の事業と関連のある目標を特定し、それに取り組むことです。

逆にいうと、自社の事業と関連のない目標がある場合、無理をしてそれに取り組む必要はないともいえます。

このあたりの考え方に関しては、経済産業省が2019年5月に発行した「SDGs経営ガイド」に明記されています。

17の目標、169のターゲットすべてに焦点を当てることを求めているわけではない。自社にとっての重要課題(マテリアリティ)を特定し、関連の深い目標を見定めることで、自社の資源を重点的に投入することができ、結果として自社の本業に即した、効率的なSDGsへの貢献が可能となる。

引用:経済産業省「SDGs経営ガイド」

企業としてSDGsに取り組む際、目標を見定める方法がわからない場合は、上記の内容を含め「SDGs経営ガイド」をチェックしてみてください。数多くのヒントが得られるはずです。

【まとめ】目標期限にとらわれず取り組みを続けることが重要

SDGsは、新型コロナウイルス感染症の影響などで、想定していた進捗から大幅に遅れているのが現状です。

世界はここからさらにスピードを上げて、目標期限である2030年までに達成できるよう、取り組みを続けることが重要だといえます。