日本のSDGsへの取り組み、課題解決の可能性は?
SDGsは、日本でも言葉として定着した感がありますが、実施する点ではまだまだ課題があるとされます。では、日本のSDGsの課題とは、どのような内容なのでしょうか。
この記事では、すでに日本で実施されている取り組みや、課題クリアの可能性について解説します。
日本のSDGsの課題とは?
SDGsに関して、世界における日本のランキングは下降傾向にあります。特に2022年は19位と、過去最低を記録してしまいました。
順位が低下する要因として、SDGsの17つの目標のうち、深刻な課題とされるものが6つと、全体の3分の1を占めるまでになっていることが考えられます。
SDGsの目標を達成できていないという事実はもちろんのこと、その背景にも目をとめる必要があるでしょう。
SDGsを推進するうえでの日本の課題や問題点とされることの1つは、ジェンダーの平等です。
国会議員に占める女性議員の割合が低いことや、男女の賃金格差などに表れています。
気候変動で具体的な施策を打ち出せていないことも問題です。再生可能エネルギーの導入に積極性が見られない点も、各国の取り組みを分析した報告書で指摘されました。
海に囲まれ、その恩恵を多分に受けているにもかかわらず、海の豊かさを守る取り組みが十分でない点も課題です。
加えて、他国とパートナーシップを構築したり、協力する役割を果たしていないとも問題視されています。
日本はSDGsの課題に、どのように取り組んでいるのか?
日本では、SDGsの課題にどのように取り組んでいるのでしょうか。政府や企業が実施しているものをピックアップし、企業が行えることのヒントを探していきましょう。
日本政府の取り組み
日本政府は、SDGs達成をより具体的に実現するために「SDGs推進本部」を設置し、各行政機関の連携を図っています。日本政府として主に取り組んでいるのは、防災・保健・人権・教育・ジェンダーです。
その中でも新政策を打ち出しているのが、保健・教育・ジェンダーとなっています。
保健分野では、国際機関などと協力して感染症の拡大防止に取り組んだり、高齢化社会を意識して認知症や精神保健分野の支援を強化している状況です。
教育は日本がすでに達成している分野とされますが、その経験を生かし、女子の就学・就職率の向上などを含む、女性教育支援のための国際的なネットワーク構築を進めています。
ジェンダー支援では、インドに女性専用車両を作ったり、発展途上国の学校内に女子トイレを整備したり、女性の小規模ビジネス活性化や能力開発などを行っています。
【企業事例】イオンのASC認証商品
大手流通グループのイオンでは、海の資源を大切にする取り組みとして、環境や人権に配慮した養殖水産物につけられるマーク「ASC認証」を取得した商品の売り場を設けています。
ASC認証商品をわかりやすい形で提供することで、地球環境を考えるきっかけをつくり、買う側の意識変容を促しているのです。
日本は課題をクリアできる可能性はあるのか?
日本のSDGsのランキングが下がり続けている現状を考えると、このまま同じことを続けていても、課題を解決できる可能性は低いといわざるを得ません。
日本でSDGsの課題クリアの障壁となっているのは、企業にしても個人にしても、SDGsに取り組む重要性や意義をリアルに実感できていないこととされています。
たとえば、SDGsの具体的な活動内容や取り組みの効果がわかりにくい、頭のどこかで実現が難しいと決めつけているといったことです。
このようなマインドを変えるには、SDGsの取り組みを将来への投資と考えるのが大切だといわれています。
一例として、レジ袋の有料化は、すぐには地球環境の改善につながらないかもしれませんが、個人や企業の意識を変える1つの要素と捉えることができるでしょう。
また、解決すべき問題と、他の課題とのバランスをとることも重要です。
環境問題を意識するあまり、働く従業員が幸福でなくなったり、過重労働を強いる結果になるとしたら、新たなSDGsの課題が発生してしまいます。
このように、クリアすべき課題はたくさんありますが、根気強く取り組んでいくしかなさそうです。
【まとめ】日本は長期的な取り組みがポイント
日本のSDGsの課題は、短期的な取り組みでは解決できないほど根深いといえます。
それらをクリアするためには、政府や個人の努力に加え、イオンのように各企業の真剣な取り組みが重要になりそうです。