【2022年版】SDGs世界の現状はどうなっているの?
2015年に国連サミットで採択されてから、2030年を目途に取り組みを続けているSDGs。17目標の達成に向けて、世界の現状はどのようになっているのでしょうか。
そこでこの記事では、2022年時点のSDGsにおける世界の現状について取り上げてみました。取り組みの世界格差、日本の取り組みの世界評価も併せて解説します。
世界何カ国がSDGsに取り組んでいるのか?
SDGsに取り組んでいる国の数ですが、国連に加盟している193カ国です。ここには、もちろん日本も含まれます。
ただし、毎年発表されるSDGs達成度ランキングでは、193カ国すべての順位付けをしていません。理由は、達成度を判断する際に使うデータが不足しているためです。
データ不足の国は、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)、ドイツのベルテルスマン財団が作成した「持続可能な開発レポー2022(SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT)」で発表されており、2022年はランキング対象国が163カ国、ランキング所外国が30カ国となりました。
参考までに、除外対象国のリストを以下に記載します。
出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT
除外対象国になったからといって、SDGsに取り組んでいないとは限りません。しかし、その判断をするための材料がないため、ランキング除外国の取り組み状況を判断するのは難しいといえそうです。
SDGsランキング順位の高さと積極性は比例しない?
先に触れたとおり、SDGsの目標達成度は毎年ランキング形式で発表されます。上位国はコミットメントが濃いと考えがちですが、そういうわけではなさそうです。
以下の図を見てください。
出典:SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT
60カ国以上を対象とした「SDGsに対する政府のコミットメントと取り組み」をまとめたものです。
コミットメントの濃さの順にまとめられており、「持続可能な開発レポー2022」の中で公開されています。区分の名称は以下のとおりです。
- 紫色:非常に高いSDGsのコミットメント
- 水色:高いSDGsのコミットメント
- 黄緑色:中程度のSDGsコミットメント
- オレンジ色:SDGsへのコミットメント
- 黄土色:非常に低いコミットメント
気になるのは、G20加盟国の米国、ロシア連邦、ブラジルです。この3カ国は、SDGsに対し非常に低いコミットメントに分類されています。ちなみに、各国のランキング順位は、米国41位、ロシア連邦45位、ブラジル53位です。
「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT」によると、上記3カ国は、国連持続可能な開発サミット成果文書「2030アジェンダ」ならびにSDGsを支持していないといいます。
3カ国の世界ランキング順位は極端に悪くないのですが、コミットメントが薄いことから「非常に低いコミットメント」に分類されたわけです。
対照的なのは、「高いSDGsのコミットメント」に分類された、デンマークやフィンランドなどの北欧諸国、アルゼンチン、スペイン、メキシコ、ドイツ、日本、ナイジェリア、ベナンなどです。
興味深いのは、SDGsランキング順位139位のナイジェリアや、153位のベナンが含まれていることでした。
ここからわかるのは、コミットメントの濃さと、世界ランキング順位は比例しないことです。
世界の取り組み状況を知りたいときは、世界ランキングなど一部の情報のみ参考にせず、複数のデータを参考にしたほうがよいといえます。
世界と比べて日本の取り組み状況はどうなのか?
日本は、2020年から2年連続でSDGsのランキング順位を落としています。また、国際波及の結果も、あまりよい状態とはいえません。
2022年に発表された「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT」によると、日本は67.3ポイントとなっています。
一方、OECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国の平均は70.7ポイント、ランキング上位国が含まれる東ヨーロッパや中央アジアは90.1ポイントです。
ここだけ見ると、日本のSDGsの取り組み状況は思わしくないように見えますが、実際のところどうなのでしょうか?
先に触れたコミットメントの濃さに関しては、世界で評価されていました。
また、2022年時点で163カ国中19位と極端に順位を落としているわけではなく、国別のスコアは79.6ポイントと地域平均77.2ポイントを上回っています。これは、アジア諸国で1位です。
このままコミットメントの濃さを維持し、残された課題を達成し続ける必要はあります。しかし、取り組み状況としては、世界の中でそれほど悪くはないといえそうです。
【まとめ】SDGsは、今後の世界の動向に期待
世界は、新型コロナウイルス感染症の大流行や、ロシアとウクライナの戦争など、SDGsの取り組みが思うように進まない年月を過ごしてきました。
現状、目標や課題を緩やかにクリアしつつありますが、持続可能な社会を未来に残すためは、世界中でより一層の取り組みが求められるといえます。