SDGsの反対国と、その主張とは?
SDGsの達成に向けた取り組みが世界中で行われていますが、すべての国が賛同しているわけではありません。
どのような理由から賛同していないのでしょうか。ここでは、SDGsに反対している国と、その主張について解説します。
SDGsの反対国とは?
SDGsは、2015年に国連の全加盟国である193ヵ国によって採択されました。
その時点で存在していた国家のうち、国連に加盟していなかったのは、バチカン、コソボ、オセアニア東部にあるクック及びニウエだけです。
つまり表向きは、世界中のほとんどの国がSDGsの考え方に賛同していたことになります。
しかし、SDGsのコンセプトに明確に反対している国はなかったものの、実際には取り組みに温度差があります。中には、ほとんど推進していない国があるのも現実です。
どのような国が積極的にSDGsに関する取り組みを行っていないかは、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が毎年発表している「持続可能な開発報告書」を見ればわかります。
この報告書では、SDGsの達成度に応じた各国のランキングが掲載されており、下位に位置づけられている国ほど反対姿勢が強い傾向にあるようです。
2022年度の報告書によると、下位10か国に位置づけられているのは、アンゴラ、ジブチ、マダガスカル、コンゴ民主共和国、リベリア、スーダン、ソマリア、チャド、中央アフリカ共和国、南スーダンといった国々でした。
反対国の主張とは?
では、SDGsの反対国は、いかなる理由で取り組みについてネガティブな姿勢をとっているのでしょうか。
反対理由1:SDGsは開発途上国の成長を抑えるための方便ではないか?
まず理由の1つ目は、SDGsは欧米諸国が積極的に推奨しているものの、その目的は開発途上国の経済成長を抑えるためであり、それらの国々にとっては自国の成長の妨げにしかならないというものです。
先進国が経済的に発展を遂げてきた背景には、少なからず環境を破壊してきた歴史があります。
そのような国々が、今になってSDGsの一環として環境保護を訴えるのは単なる偽善であり、開発途上国にとってそのような主張は到底受け入れられないというわけです。
実際、反対国の政治家の中には、SDGsは開発途上国から利益を取り逃さないようにするために、一握りの欧米諸国がビジネスチャンス創出の道具として考え出されたコンセプトではないかと主張している人もいるほどです。
そういった人々に対し、「いかにSDGsの達成が開発途上国にとってメリットがあるか」という点について納得してもらうことが出来れば、今後、SDGsの活動に参加する可能性も見えてくるでしょう。
反対理由2:人間至上主義に基づくSDGsは、持続可能な社会の実現には役立たないのではないか?
2つ目の理由は、SDGsは人間至上主義でしかないということです。SDGsにおいて設定されているゴールやターゲットは、人間活動が中心となっています。
SDGsでは、その人間活動という観点から自然保護の目標を設定していますが、それは人間にとって都合のよいものでしかない、というのが一部の反対国の主張です。
この理由に賛同する人々は、人間至上主義に基づく持続可能な社会が、本当に永続的に存続し得るのかという点に疑義を呈しています。
そのため、SDGsの実現に向けた取り組みを、積極的に行おうとしていないのです。
【まとめ】SDGsの達成には反対国の協力が不可欠
これまで見てきたように、表向きは明確に反対はしていないものの、実際にはSDGsの取り組みについてネガティブな姿勢をとっている国は少なくありません。
今後、世界はSDGsの達成に向けて、いかにしてそういった国々の協力を得るかが重要になるでしょう。