2022年SDGs達成度4位!ノルウェーの取り組みとは?

世界163カ国のSDGs(持続可能な開発目標)の達成度で、ノルウェーは前年7位から3ランクアップして世界第4位になりました。

この記事では、評価されたノルウェーの取り組みとはどのようなものか、日本との違い、活かせる内容があるかについて解説します。

SDGs達成度第4位ノルウェーの評価とは?

すべての人がいつまでも幸せに暮らせる世の中を作るため、世界中で取り組む目標として掲げられた「SDGs(持続可能な開発目標)」。

世界163カ国が、2030年までの達成を目指して努力を続けています。国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が、世界のSDGs17の目標に対する取り組みを分析し、毎年発表しているのが「SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT 2022」です。

2021年に第7位だったノルウェーは、2022年に第4位にランクアップしました。

ノルウェーが評価されているSDGsの目標は何?

ノルウェーでは、下記の7つの目標で、2030年までの達成に充分な割合でスコアが増加しているか、達成値を超えています

目標1.「貧困をなくそう」
目標5.「ジェンダー平等を実現しよう」
目標7.「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」
目標10.「人や国の不平等をなくそう」
目標11.「住み続けられるまちづくりを」
目標16.「平和と公正をすべての人に」
目標17.「パートナーシップで目標を達成しよう」

ノルウェーの取り組み内容を、いくつか見ていきましょう。1つは水力発電です。山々に囲まれた豊かな自然と水源を生かして、国の発電量の99%をまかなっています。

EV車の普及率も、代表的な取り組みの1つといえるでしょう。EV車は、排気ガスや有害物質の発生を抑えることができますが、世界一高い国がノルウェーなのです。

また、EV車を購入した場合、購入税25%の免除や、有料道路と駐車場利用料も免除になるなど、政策によるEV運転者へのインセンティブを充実させています。

2022年からはハイブリッド車の購入税率が上がり、免税になるEV車を購入する動機が増したこともあって、2022年3月の販売比率ではEVが86%、通年でも80%台を超える予想です。

さらに、2025年までには新車乗用車の販売すべてを、EV等のゼロエミッション車にすることを目標にしています

2030年までの二酸化炭素ネット排出量ゼロを掲げているノルウェーは、これらの取り組みにより、目標達成に向けて着実に前進しているといえるでしょう。

日本との違いと、日本でも活かせる取り組みとは?

2022年の日本のSDGs達成度は、2021年から1つ順位を落とし、19位でした。日本のSDGs達成度をさらに上げていくために、ノルウェーの取り組みの日本との違いと、参考にできる対策があるか解説します。

水力発電

ノルウェーの取り組みで高く評価されている目標7.「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」では、日本は「適度に改善して、必要なペースの50%は超えているが、課題を残している」という評価です。

しかし、日本とノルウェーには実は共通点も多く、面積がほぼ等しい上に、どちらの国も豊かな海や山といった大自然に囲まれています。

日本の水力発電の割合は2019年時点で全体の7.7%にとどまり、成長の余地が大きな分野でもあります。

すでに日本でも、開発可能な地点の全国調査や、未利用の水力エネルギーの新規開発、発電電力量の最適化・高効率化を目指すなど、水力発電量を増やす努力を続けています。

豊かな海と山を持つ国土環境が似ているノルウェーの水力発電を参考にすることで、取り組みの前進に役立てることができるでしょう。

EV車の普及

日本ではEV車の普及がまだ広がっておらず、2021年の新車販売台数約240万台のうち、EV車は2万台強で全体の0.9%です。

ただし、これから大きな成長が見込める分野として、車のメーカーや販売企業もEV車の新車販売に力を入れています。

ノルウェーが政策的に行っているEV運転者への各種インセンティブ制度は、日本でのEV車の普及に向けても参考にできる点が多いといえるでしょう。

海の自然保護

ノルウェーが達成度を適度に改善している目標14.「海の豊かさ」で、日本は「達成に必要なペースの50%を下回って、停滞中」となっています。

ノルウェーでは海の自然保護に力を入れるため、海事局が国のフィヨルド(氷河の浸食作用で形成された複雑な地形の湾や入り江)で行われている海運活動のうち、いくつかの禁止を提案しました。

海の自然保護を進めたい日本でも、ノルウェーを参考にできる点があるでしょう。

若者による環境保護活動

ノルウェーでは若者による環境保護活動が盛んで、25歳以下の若者で構成される「ネイチャーアンドユース」はメンバー数8,000人を超え、国内最大規模を誇る環境保護団体となっています。

これからの地球で生きる時間の長い若者にとって、環境保護は大きな関心ごとです。

日本でも若者による活動参加は増えていますが、若者世代が声を上げ、自らの関心ごとに向けて行動しやすい社会を作っていくことも、大切といえるでしょう。

「フリルフスリフ」の文化

古来より「フリルフスリフ」と呼ばれる、「自然の中で、調和して暮らす」という生活スタイルを大切にしてきたノルウェー。

自然からの恩恵をこれからも持続可能な形で受け取り、共に生きていくため、「積極的な環境保護は当たり前」という精神性が根付いて各人の行動につながっています

昔から豊かな自然を享受し、季節を大切に生きてきた日本でも共感しやすい文化といえるのではないでしょうか。

共感から一歩進めて、環境保護が当たり前という意識を育んでいくことができれば、SDGsへの取り組みもますます前進可能となるでしょう。

【まとめ】ノルウェーの取り組みを知って日本のSDGsに活かそう

SDGsの達成度世界第4位のノルウェーは、豊かな自然など日本との共通点も多い国といえます。

水力発電やEV車の普及、海の自然保護を始めとした環境保護活動など、異なる点を知って学べば、日本の取り組みの参考にできる箇所が数多くありそうです。