SDGs目標16「平和と公平をすべての人に」概要と日本の課題
SDGs16番目の目標は、「平和と公平をすべての人に」。今なお世界の国や地域では、紛争や戦争などの争いが絶えません。また、2019年に発表された国連SDGsレポートによると、世界の5歳以下の子どものうち、約73%しか出生登録されていない状況です。
平和と公平を実現するには時間がかかるといわれていますが、その現実を変えるべくつくられたのが目標16です。この記事では、目標16の概要やターゲット、達成手段、日本の課題について見ていきます。
SDGs 目標16とは?
SDGs 目標16で掲げているテーマは、「持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する」です。
このテーマが掲げられた背景には、次のような現実があります。
- 1946年以降、紛争や戦争など暴力的な行為が増加している
- 2020年末時点、世界人口4分の1が紛争などの影響を受けながら生活している
- 世界人口3分の1にあたる女性が、夜間に安心して外を歩けないと感じている
- 2022年5月末時点で、紛争や戦争などを理由に故郷を離れた人が過去最高の1億人を超えている
- 企業の約6社中1社が、公務員から賄賂を求められた経験がある etc.
これらの事例は一部ですが、上記のような問題を解決するために、以前から世界の国々や地域は積極的に取り組んできました。
しかし、根本的な解決に至らず現在に至っています。この現状を変えるべく、世界全体で取り組むためにつくられたのが目標16です。
目標16のターゲットは?
目標16で設定されているターゲットは12項目。そのうち、目標は10項目、目標の達成手段は2つとなっています。
詳細は、以下の表のとおりです。
出典:農林水産省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」
SDGs目標16、日本の進捗は?
出典:SDGs media
上記の図は、2017年から2022年までの日本の進捗度を表したものです。色分けされていますが、各色の意味は以下のとおりとなります。
- 緑:目標達成
- 黄色:課題あり
- オレンジ:重要な課題あり
- 赤:主要な課題あり
ところどころ矢印がありますが、これは進捗度を4パターンで表しています。横棒が記載されている箇所は、データなしという意味です。
2022年の目標進捗度を見てみると、日本は目標を達成しており、現在も新たな課題をクリアしていることがわかります。
では、まったく課題がないのかといえば、そういうわけでもありません。詳細は、次の項で見ていきましょう。
日本が抱えている課題
日本が抱えている課題として、代表的なものを3つ以下に記載します。
- 幼児や児童への虐待
- 政治や行政による汚職
- コーポレートガバナンスの見直し
世界的に見ると、日本は平和で公正な国といわれていますが、子どもへの虐待事件が後を絶ちません。
2021年に発表した警察庁「犯罪情勢統計」によると、児童虐待通告で判明した虐待に遭った18歳未満の子どもの人数は10万8050人です。
2つ目の政治や行政による汚職ですが、この問題も古くからたびたびメディアで騒がれてきました。
2021年に国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが発表した「腐敗認識指数のランキング」によると、日本は世界18位にランクインしています。
この順位だけ見ると、日本は世界の中で比較的健全だといえます。しかし、政治家や公務員による汚職や賄賂事件が、まったくないわけではありません。
それから、3つ目のコーポレートガバナンス。これは、健全に企業を経営するうえで欠かせない管理体制や内部統治のことです。
経済産業省「CGSガイドライン」によると、企業価値の低迷に頭を抱える企業の多くは、コーポレートガバナンスに関連する課題を抱えていると指摘しています。
以上3つの課題は、個人でできることに限りがあります。しかし、だからといって他人任せにするのではなく、まずは一人ひとりが課題に関心を持ち、現状を変えようとする意識を持つことが重要です。
【まとめ】まずは身近にある問題に目を向ける
日本の目標16の達成度は良好ですが、まだ身近なところにさまざまな課題があります。その中で、たとえば昭和産業株式会社では、コンプライアンス経営に着手しているそうです。
内部通報制度を設け、取り組みを続けているといいます。このような事例を参考にしながら、まずは目標16に関心を寄せてみてはいかがでしょうか。