SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の概要と日本の課題
SDGs17の目標の中で、日本が最も苦戦しているといっても過言ではないのが、目標14「海の豊かさを守ろう」。日本は海に囲まれた島国でありながら、2017年から2022年まで望ましくない評価を得ているのが現状です。
この記事では、SDGs目標14の概要に触れながら、掲げているターゲットや目標達成手段、日本が抱えている課題について解説します。目標14の基本を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
SDGs 目標14とは?
SDGs 目標14は、海の豊かさを取り戻すのが最終目標。それとは別にテーマとして掲げているのは、「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことです。
テーマの背景には次のような現状が関係しています。
- プラスチックなどによる海洋汚染
- 海水の酸性化
- ルールを守らない漁獲
- 温暖化による海水温度の上昇
- 海水に含まれる栄養分の増加
- 小規模漁業に携わる漁師への支援 etc.
このあと詳しく解説しますが、日本が早急に改善すべき課題はプラスチックゴミによる海洋汚染です。
これはゴミ問題ともいえますが、世界では2021年までに約1,700万トンものプラスチックゴミが海に流出しています。
対策をしないまま放置した場合、2040年までに現在の量の2~3倍を超える予測です。
海洋汚染は課題の一例ですが、海を綺麗な状態に保つだけでなく、そこに関わるすべての資源を守り安全にしていくこと。
それが、SDGs目標14が目指しているゴールです。
目標14のターゲットは?
目標14で設定されているターゲットは10項目。そのうち、目標は7つ、目標の達成手段は3つとなっています。
詳細は、以下の表のとおりです。
出典:SDGsジャーナル
SDGs目標14、日本の進捗は?
出典:SDGs media
2022年における日本の進捗度について見ていきます。上記の表は、これまでの日本の評価をまとめたものです。各色の意味は以下のとおりとなります。
- 緑:目標達成
- 黄色:課題あり
- オレンジ:重要な課題あり
- 赤:主要な課題あり
矢印は、進捗度を4つのパターンに分けて表しています。横棒が記載されている箇所は、データなしという意味です。
ここで、目標14の行を見てください。
他の目標と比較すると、明らかに苦戦している様子がうかがえます。2017年と2019年の2回だけ「重要な課題あり」となりましたが、その他の年は「主要な課題あり」です。
また、矢印が横向きとなっており、毎年課題が大幅に達成できていないことがわかります。
日本が抱えている課題
SDGs報告書2022によると、特に深刻な課題は以下の4つです。
- 海洋健全度指数
- 輸入に関連する海洋生物多様性への脅威
- 海洋地区の平均占有面積(保護されている面積)
- 漁獲しすぎた、または崩壊魚種資源から獲った魚の割合
注目したいのは、海洋完全度指数です。これは冒頭でも少し触れた、海のゴミ問題が含まれます。
現状のままプラスチックゴミが世界で発生し続けた場合、2050年頃には海で生息する魚の重さを超えると予測されています。
日本の海に漂着するゴミの中で、最も多いのがプラスチックゴミです。生物や海鳥に悪影響を及ぼしており、死傷例する事態が続いています。
近年は、食品メーカーや飲食店などが、製品の包装をリサイクルやリユース素材に変えていますが、そもそもゴミを減らす取り組みが求められているのです。
【まとめ】課題の解決法は日常の中にある
近年の日本では、リサイクルやリユースが盛んになり、ゴミ問題にまつわる課題は改善傾向にあるように見えます。
しかし、2022年のSDGs目標14の評価を見てもわかるとおり、現状は厳しいといえるでしょう。海洋問題を解決するには、日頃からゴミへの関わり方を変える必要がありそうです。