SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の概要と日本の課題

SDGs 目標12は、消費と生産のサイクルを改善し、持続可能な形態を確保するための目標です。達成することで、フードロスや環境汚染、廃棄物管理など、さまざまな問題の解決につながります。

日本でも取り組みを始めていますが、現状ではどのくらい目標をクリアしているのでしょうか。そこでこの記事では、目標12の概要やターゲットに触れながら、日本の現状、抱えている課題について見ていきましょう。

SDGs 目標12とは?

「持続可能な生産消費形態を確保する」ことをテーマとして掲げている、SDGs目標12。これは、現在の消費と生産のサイクルを見直し、行動を変えていこうという意味です。

国際連合広報センターが2022年に発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告」によると、世界的に天然資源への依存度は高まっており、2000年から2019年までに約65%も上昇しているといいます。

このままのスピードで天然資源に依存した場合、近い将来、枯渇することは言うまでもありません。

また、世界では食糧危機や貧困などの問題が取り沙汰されていますが、一方でたくさんの食料が廃棄されている現実もあります

世界中にある食料のうち、収穫して市場に行く前に腐ったり、痛んだりするなどして廃棄される割合は13.3%。

さらに、飲食店や食料品店、家庭で食料が廃棄される割合は約17%です。

現在の消費と生産のパターンは、気候変動、環境汚染、生物多様性の喪失といった、地球危機の原因になっています。

そのような消費と生産のサイクルを見直し、持続可能なパターンを確保することを、目標12では目指しているのです。

目標12のターゲットは?

目標12で設定されているターゲットは11個あり、目標8つ、目標の達成手段3つに分かれています。詳細は以下の表のとおりです。

出典:SDGsジャーナル

SDGs目標12、日本の進捗は?

出典:SDGs media

まずは、2022年における日本の進捗度を見ていきます。上記の表を見てください。

色分けされていますが、各色の意味は以下のとおりです。

  • 緑:目標達成
  • 黄色:課題あり
  • オレンジ:重要な課題あり
  • 赤:主要な課題あり

矢印は、進捗度を4パターンで表しています。横棒が記載されている箇所は、データなしという意味です。

2022年の日本は前年と異なり、主要な課題ありへ逆戻りしていることがわかります。しかし、矢印は右斜め上を指しているため、改善傾向にはあるといえそうです。

日本が抱えている課題

では、今の日本が解決しなければならない課題とは、どのようなものなのでしょうか。要点をまとめると、以下のとおりです。

  • 食料品廃棄の見直しと改善
  • 不用品のリサイクル、リユースへの取り組み
  • 適切な消費量を見極め、最後まで使い切ることの徹底
  • 少量の資源を効率的に利用する工夫
  • 温室効果ガス排出量削減への取り組み

国際連合広報センターは、企業が目標12達成に貢献するには、製品やサービスが環境・経済にどのような影響を与えるか、理解することが重要だといいます。

企業の場合、ほんのちょっとした動きが、社会に大きな効果をもたらすことがあるからです。

たとえば、株式会社永谷園ホールディングスでは、フードロス削減の取り組みを2017年5月から始めていました。主に、賞味期限の延長や需要変動に合わせた在庫調整を実施しているそうです。

コープデリ生活協同組合連合会の場合は、規格外農産物を扱い、ほんの少しお買い得価格で販売することにより、フードロス削減に取り組んでいます

ここではフードロスについて取り上げました。企業規模に関係なく上記のような取り組みをすることが、目標12達成につながりそうです。

【まとめ】今までの「当たり前」を見直すのがカギ

目標12において、日本は2017年から一度も課題達成を獲得していません。SDGsは2030年を目標達成のゴールと定めていますが、今のままでは達成は困難な状況です。

しかし、先に触れたとおり、企業側がほんの少し動いたことが、社会に大きな効果をもたらす可能性は十分にあります。

まだ目標12に取り組んでいない場合は、本記事をきっかけに、現在の消費や生産のサイクルを見直すところから始めてみてはいかがでしょうか。