SDGs目標11の概要と、日本の現状や課題をまとめてみた!
SDGs目標11は、私たちがふだん生活するうえで、深くかかわってくる目標の1つです。長く安心して生活を営むために、必要不可欠といってもよいかもしれません。
この記事では、目標11の概要をはじめ、世界基準で設定されているターゲット、日本の現状や課題について解説します。企業で目標11に取り組むことを検討している方は、参考にしてください。
SDGs 目標11とは?
「住み続けられるまちづくりを」をゴールとして掲げている、SDGs目標11。テーマは、「包摂的で安全かつ強靭(リジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」となっています。
これらのゴールやテーマが設定された背景には、いくつかの問題が関係しています。1つは、人口増加に伴う街の機能性低下や住宅問題です。
コロナ禍の影響で、都市部から地方へ移住する人が増加しました。それでもなお、都市部に人口が集中する傾向にあります。
国際連合(国連)の発表によると、世界の都市部で暮らす人の割合は、2050年までに68%増えるそうです。
特にこれからは、アジア・アフリカを中心に都市人口の増加が懸念されており、インフラ整備や過密居住地域拡大への対応が急がれています。
また、特定の国や地域に人が密集するということは、自然災害などが発生した際、多くの人たちがその影響を受けることを意味します。
インフラ設備等が人口増加に追いついていない国や地域で、自然災害が発生した場合、食糧危機、衛生施設不足による感染症の発生など、大変な事態に陥るでしょう。
そういった緊急事態にも柔軟に対応ができて、私たちが安定した生活を営める持続可能なまちづくりを推進すること。
現状で、住環境などに恵まれていない人たちをサポートすること。 それらを世界規模で実現するためにつくられたのが、目標11なのです。
目標11のターゲットは?
目標11のターゲットは、10個あります。内訳は、達成目標は7つ、実現方法は3つです。企業がSDGsに取り組む際、特に実現方法の3つは参考になりますので、一度は目を通しておくことをおすすめします。
出典:SDGsジャーナル
SDGsの目標11、日本の進捗と最大の課題
まずは、日本の進捗度を見ていきます。上記の表を見てください。2017年から2022年までの達成状況をまとめています。
色分けされていますが、詳細は以下のとおりです。
- 緑:目標達成
- 黄色:課題あり
- オレンジ:重要な課題あり
- 赤:主要な課題あり
矢印は、変化や動向を4パターンで表しており、横棒になっている箇所はデータがないことを表しています。
さて、この表によると、目標11の進捗は良好といえそうです。2022年は課題ありとなっているものの、緩やかに改善傾向にあるといえます。
では具体的に、日本はどのような課題を抱えているのでしょうか。代表的なものとしては、高齢者を中心とした、食料品アクセス問題が挙げられます。
高齢化や単身世帯が増加している一方、地元の小売業が廃業したり、既存商店が衰退したりして、食料品等の購入に不便を感じる人が増加しているそうです。
近年は、インターネットで食料品を購入できますが、人口が少ない地方都市の場合、そもそも利用できないケースが少なくありません。
このような人口の減少等による生活の不便さの解消が、暮らしやすい街づくりとは反した状況になっているのです。
また、日本では近年、自然災害が増加しています。そのような災害が発生した際に、適応できる取り組みや仕組みづくりも重要な課題となっているのです。
【まとめ】環境にも人にもやさしいまちづくりがポイント
目標11を端的にまとめると、自然と共存しながら安心して長く暮らせるまちをつくることともいえます。それは、容易く実現できることではないかもしれません。
しかし、すでに多数の企業が商品やサービスの開発を進め、一定の成果を出しています。CO2排出を抑えるため、電動スクーターを販売したアメリカのBird社は典型例でしょう。
視野を広げ、この機会に自社でできることを模索してみてはいかがでしょうか。