SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは?日本の進捗や課題も解説
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」は、国内・国家間のあらゆる不平等を減らすために設定されました。特に世界中で是正しようとしている不平等は、性別や年齢、人種、民族、階級、障害などにまつわることです。
日本では、株式会社セブン&アイ・ホールディングスや、ハウス食品グループ本社株式会社などが積極的に取り組んでいますが、そもそも目標10の概要はどのような内容なのでしょうか。目標10のターゲットや日本の取り組み状況、課題などと併せて詳しく見ていきましょう。
SDGs 目標10とは?
目標10のテーマは、「国内および国家間の不平等を是正する」です。ようするに、世界中で起こっている格差や差別などの不平等を、みんなでなくしていこうという目標といえます。
このような目標やテーマが掲げられた理由の一部は、以下のとおりです。
- 世界的に収入格差が広がっているから
- 一国の中でも、貧富の差が広がっているから
- いざというときに社会保障を受けられない人たちがいるから
- 移民の権利保護、社会経済福祉保障に関する取り組みが不十分だから
- 性別や障がい等を理由とした差別や偏見が依然として続いているから
たとえば、資産や収入格差に関しては、コロナ禍による経済情勢悪化をきっかけに、日本でも注目されるようになりました。
「世界不平等研究所」が2021年に発表した調査結果によると、世界の超富裕層の資産上位1%は、世界全体の個人資産37.8%に相当するそうです。
なお、収入格差という観点から比較すると、最もその差が大きいのは中東・北アフリカ地域でした。富裕層の上位10%が、全体の所得の58%を占めていることがわかっています。
ここでは資産ならびに収入の格差のみ取り上げました。これらの不平等をなくしていくための取り組みが、目標10にまとめられているのです。
目標10のターゲットは?
目標10のターゲットは、7つの達成目標と3つの実現方法に分かれています。詳細がまとまった表を以下に記載しますので、参考にしてください。
出典:SDGsジャーナル
目標10、日本の達成度と最大の課題とは?
上記の図は、2017~2022年までの日本のSDGs達成度をまとめたものです。カラフルに彩られていますが、これらの色には意味があります。
- 緑:目標達成
- 黄色:課題あり
- オレンジ:重要な課題あり
- 赤:主要な課題あり
また、ところどころ矢印がありますが、これは進捗(変化や動向)を4パターンで表現したものです。横棒は、データがなかったことを示しています。
ここで、目標10の欄を見てください。重要な課題がある状態から、ほぼ変化がありません。2021年、2022年ともにデータなしとなっていますが、思わしくない状況であるといえるでしょう。
なお、日本政府が課題として主に掲げているのは、ジェンダー格差、少数派への差別、収入格差です。
たとえば、収入の格差ですが、先述した「世界不平等研究所」の調査結果によると、富裕層の上位10%の資産57.8%中、最上位1%は日本の個人資産24.5%を占めているといいます。
この結果は、1980年代から継続的に収入の格差が広がっていることを意味しているのです。
また、労働から得た輸入に占める男女比を比較すると、日本は主要7カ国(G7)の中で最低となっています。つまり、男女による収入格差も課題となっているのです。
今後、これらの課題をクリアするためには、企業や自治体、各種団代だけでなく、個人も含めた積極的な取り組みや、意識改革が重要となります。
【まとめ】身近な不平等からなくしていくことが大切
目標10において、企業として取り組むことができる点は多分にあるといえます。たとえば、株式会社セブン&アイ・ホールディングスのように、国籍や性別、年齢に関係なく人材を雇用・育成することから始めている企業も存在します。
そのような企業の事例を参考にしながら、自社で取り組める課題を見つけ、目標10の達成を目指してみてはいかがでしょうか。