SDGs目標1「貧困をなくそう」の概要と原因を解説
SDGsの目標1である「貧困をなくそう」は、先進国日本に住む私たちには、あまり関係性が感じられないかもしれません。しかし、貧困問題は途上国などの一部の国だけでなく、日本にも存在します。
企業として目標1に取り組む際、何から着手すればよいのでしょうか。今回は目標1の概要と原因、日本の課題について解説していきます。
SDGs目標1「貧困をなくそう」の概要と原因
「貧困をなくそう」の概要
貧困というと、戦争による難民がいる地域や、途上国などの貧しい国の問題と考える方も多いかもしれません。しかし、貧困はそういった国や地域だけの問題ではないのです。
そもそも、貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2種類があります。「絶対的貧困」は、私たちが一般的にイメージする貧困のことです。現在、世界では、7億人以上(10人に1人)が極度の貧困状態にあるといわれています。
一方で「相対的貧困」は、その国の一般的水準よりも低い生活を強いられている状態のことを指し、日本でも増えつつあるそうです。
目標1は、こうした2種類の貧困を包括した目標となっています。世界中のあらゆる場所の、あらゆる形態の貧困をなくすことを目指しているのです。
なお、教育や仕事、食料、医療、住居など、生きるために必要なサービスが受けられないような、生活格差をなくすことも目標に含まれます。
「貧困」の原因
なぜ、このような貧困状態に陥ってしまうのでしょうか。原因はさまざまですが、代表的な理由として「戦争・紛争・内戦」「政治」「災害」が挙げられます。
日本は民主主義国家として、法律に守られて平和に暮らせていますが、そうではない国が世界にはたくさんあります。政治的な汚職や弾圧で、一般市民の人権や人間らしい生活が守られていないケースも少なくありません。
また、洪水や嵐などの自然災害により、住む家や農作地などを失う人たちもいます。そういったことが貧困状態へとつながっているのです。
目標1を構成する7つのターゲット
目標1は、具体的な目標を7つのターゲットに分けています。詳細は、以下の表のとおりです。
出典:SDGsジャーナル
前述したとおり、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の両方に対して目標を掲げています。ターゲットの中で、あらゆる次元での貧困を終わらせると表現されているのが特徴です。
また、国籍や年齢、性別に関係なく、すべての人たちが守られる社会保護制度をつくり、平等な権利が得られるようにすることも掲げています。
目標1「貧困」における日本の現状と課題
出典:SDGs media
上記の表は、日本におけるSDGs17目標の進捗度をまとめたものです。色分けされていますが、詳細は以下のとおりです。
- 緑:目標達成
- 黄色:課題あり
- オレンジ:重要な課題あり
- 赤:主要な課題あり
また、矢印は進捗の動向や変化を4パターンで表しています。横棒が記載されている箇所は、データなしという意味です。
これによると、日本は2017年から課題がある状態ですが、2022年の矢印を見ると課題達成に向けて順調に改善されていることがわかります。
では次に、現在抱えている代表的な2つの課題について見ていきましょう。
日本は「相対的貧困」が多い
日本は、経済大国と呼ばれた時代がありましたが、現在は貧困が大きな課題となっています。
国内の平均的水準以下の生活をしている比率を示す「相対的貧困率」によると、欧州諸国やアメリカが加盟するOECD(経済協力開発機構)において、日本は38国中7番目に割合が高い(2017年)状況です。
7人に1人が貧困状態
また、日本では、およそ7人に1人が相対的貧困状態といわれており、特に子どもの貧困率が高くなっています。ひとり親などの家族状況により、若くから働く必要があったり、学業に専念できなかったりするケースが増えており、表面的には分かりにくいのが課題です。
こうした経済的な格差が大きいことは、政治や法律などの社会的な問題でもあり、改善が求められています。
【まとめ】貧困は、ごく身近に存在する
SDGsの目標1である「貧困をなくそう」について解説しました。世界的にみると、日本は相対的に平均水準以下の貧困率が高めです。
政府や自治体の政策による支援も大切ですが、企業だけでなく個人としても何ができるのか考え、行動することが求められているのではないでしょうか。