SDGsの最優先課題「5つのP」と「8つの優先課題」とは?
SDGsには様々な取り組むべき課題や目標がありますが、その中でも「最優先課題」として挙げられているのが「5つのP」と「8つの優先課題」です。それぞれどのような内容なのか、基本を押さえておくとSDGsの活動に役立ちます。
そこでこの記事では、「5つのP」と「8つの優先課題」の基礎知識について取り上げながら、それらの具体的な活かし方について見ていきましょう。
5つのPとは?
SDGsは、国連が2030年までに達成すべき行動指針として掲げた「2030アジェンダ」が元になっています。この2030アジェンダで掲げられたのが、「5つのP」という5要素です。
5要素の内訳は、「人間」(People)、「繁栄」(Prosperity)、「地球」(Planet)、「平和」(Peace)、「パートナーシップ」(Partnership)となっており、それぞれの英単語が「P」から始まることが「5つのP」の由来です。
SDGsの17の目標と168の達成基準は、究極的には5つのPで掲げられた要素のいずれかに合致します。
具体的には、ゴール1からゴール6が「人間」、ゴール7からゴール11が「繁栄」、ゴール12からゴール15が「地球」、ゴール16が「平和」、ゴール17が「パートナーシップ」です。
つまり5つのPは、SDGsの骨格を担う概念といっても過言ではありません。
8つの優先課題とは?
日本政府は、2016年5月20日にSDGs実施指針を定めました。その際、日本が最優先で取り組むべき課題も8つ挙げており、これらを総称して「8つの優先課題」としたのです。いわば、「日本が特に取り組まなければならないSDGsの目標」といえるでしょう。
8つの優先課題の具体的な内容は、以下のとおりです。
- あらゆる人々の活躍の推進
- 健康および長寿の達成
- 成長市場の創出、地域活性化、科学技術の革新
- 持続可能で強靱な国土と良質なインフラの整備
- 省エネ・再生可能エネルギー、気候変動への対策、循環型社会の実現
- 生物の多様性、森林、海洋等の環境保護
- 平和で安全、安心できる社会の実現
- SDGs実施を推進する体制と手段の確立
8つの優先課題は、「5つのP」にそれぞれ関連付けられており、日本の文脈に即した形で再構成が行われています。全ての優先課題は2030アジェンダの「5つのP」及びSDGsの「17の目標」とは不可分です。よって、8つの優先課題のどれか1つが欠けても日本のSDGs達成は困難であり、全ての優先課題に対して統合的に取り組むべきとされています。
また、全ての優先課題は、国内での解決と国際協力の両方を行うものとなっています。日本国内での目標達成はもちろんのこと、様々な国の目標達成を援助する際も、8つの優先課題の解決が日本の行動指針として掲げられているのです。
SDGsの基本!「5つのP」「8つの優先課題」の活かし方
SDGsは世界的な目標として語られがちであり、日々の課題として実感を持つことが難しい側面があります。そのようなときに役立つのが、SDGsを身近に感じるための助けとして機能する、「5つのP」と「8つの優先課題」です。
たとえば、「People」に分類される「あらゆる人々の活躍の推進」を基準とした場合、働き方改革の推進を行うといったように「今やるべきことは何か?」という行動指針を決めることができるでしょう。
あるいは、「Planet」に分類される「生物の多様性、森林、海洋などの環境保護」を基準とするなら、紙資源を節約してデジタル化を実施するといった行動指針を作ることにつながるかもしれません。
この事例からもわかるとおり、SDGsへの取り組みを具体化していくうえで、「5つのP」と「8つの優先課題」は、行動指針を作成する際に非常に重宝するのです。
ただし「8つの優先課題」の中には、すぐに具体的な施策を検討することが難しいものや、様々な状況から施策を実行に移すことが困難ないし不可能なものもあるといえます。
しかし、SDGsで大切なのは「できることから始めていく」ことです。できないことを無理に実行するのではなく、できるところから精一杯取り組んでいくことを常に念頭に置くとよいでしょう。
【まとめ】「5つのP」「8つの優先課題」は重要な行動指針
SDGs達成における最優先課題として語られる「5つのP」と「8つの優先課題」は、いわばSDGsを身近に感じ、具体的な行動指針を定めるための概念です。
自社でSDGsに取り組む際、なくてはならないものといえるでしょう。今後、より積極的にSDGsに取り組む場合、この記事でお伝えしたことを参考にしながら、「5つのP」と「8つの優先課題」を常に意識してみてください。