SDGsに取り組むお菓子メーカーの現状と事例
世界共通目標として掲げられたSDGs。帝国データバンクが2022年6月に調査した結果によると、全国1万1,337社中50%ほどの企業が、SDGsに積極的だといいます。そのうち、製造業に分類されるお菓子メーカーの取り組みは30.5%。
1位の農林水産業35.5%に次ぐ、活動的な取り組み状況です。そこでこの記事では、SDGsに取り組むお菓子メーカーの現状について触れながら、具体的な実例、SDGs未達成の場合に懸念される問題について解説します。
SDGsに取り組む、お菓子メーカー5つの特徴
現在、積極的にSDGsに取り組むお菓子メーカーには、大きく分けると5つの特徴があります。
- 原料への配慮
- FSC認証マークの取得
- 飢餓ゼロへの取り組み
- 包装素材の工夫
- フードロス削減
ここでは、上記の中から2つピックアップして解説します。
1.原料への配慮
SDGsに取り組んでいるお菓子メーカーの多くは、地産地消やサステナブル原料にこだわるケースが目立ちます。
ここで注目したいのは、サステナブル原料。これは、環境に配慮した原料のことを指します。
たとえば、業務用製菓材料のメーカー日新化工株式会社では、サステナビリティに気を配ったカカオ豆で、「サステナブルチョコレート ダークカカオ70%」を販売。
そこで得た利益は、カカオ原産国の自然保護の他、農家の人たちの自立支援活動に活用されています。
2. FSC認証マークの取得
まずは、FSC認証マークについて解説します。
FSC認証は、森林の生物多様性を守り、地域社会や先住民族、労働者の権利を守りながら適切に生産された製品を消費者に届けるためのマークです。
引用:Forest Stewardship Council公式サイト
FSC認証制度を運営するのは、ドイツのボンを拠点として活動する「森林管理協議会(FSC)」。森林の管理を広める活動に賛同した法人、または個人が入会できます。
お菓子メーカーの中にはFSC認証マークを取得し、お菓子のパッケージや個別包装にFSC認証紙を使用しているケースがあるのです。
お菓子メーカーのSDGs具体的な取り組みとは?
SDGsには17項目の目標があります。各お菓子メーカーによって、どの目標の取り組んでいるかはさまざまです。ここでは2社の具体的な取り組みについてご紹介します。
事例1.正和製菓株式会社
正和製菓株式会社は、三重県四日市市に本社がある焼き菓子やパイなどの製造メーカー。現在、SDGs目標1、3、4、5、8、11、12に取り組んでいます。取り組みの一例は以下のとおりです。
- 目標1 貧困をなくそう:途上国または地域から、技能実習性を積極的に採用。
- 目標4 質の高い教育をみんなに、目標5 ジェンダー平等を実現しよう、目標8 働きがいも 経済成長も:スキルアップのチャンス、資格取得支援の実施(性別不問)、子育てをしている女性の時短勤務制度の導入(正社員雇用あり)
事例2.京伏見菓匠 和晃
2021年に40周年を迎えた、京都にある和菓子製造販売メーカー「京伏見菓匠 和晃」。全国菓子大博覧会などで受賞した経歴を持つ老舗です。
現在、SDGs目標1、2、3、4、5、7、8、10、11、12、13、14、15に取り組んでいます。取り組みの一例を以下にまとめます。
- 目標8 働きがいも経済成長も:事業計画を策定し、社員へ周知すること。
- 目標11 住み続けられるまちづくりを:ISO14001環境マネジメントシステムの取得。
環境マネジメントシステムとは、組織や事業者が、その運営や経営の中で自主的に環境保全に関する取組を進めるにあたり、環境に関する方針や目標を自ら設定し、これらの達成に向けて取り組んでいくことを「環境管理」又は「環境マネジメント」といい、このための工場や事業所内の体制・手続き等の仕組みを「環境マネジメントシステム」(EMS – Environmental Management System)といいます。
引用:環境省「環境マネジメントシステム」
SDGs未達成だと、お菓子メーカーの将来はどうなる?
先に触れたとおり、他業種に比べ積極的にSDGsに取り組んでいるお菓子メーカー。とはいえ、取り組み具合は未だ全体の3割ほどに過ぎません。
万が一、SDGs未達成となった場合、お菓子メーカーの将来はどうなるのでしょうか。以降で述べる内容はお菓子メーカーに限った話ではありませんが、例を挙げてみましょう。
これからの日本は少子高齢化がさらに進み、慢性的な人材不足に悩まされると言われています。
そこで重要になるのが、多様な人材を採用、育成し、事業の担い手としていくことです。ここに関わってくる代表的なSDGsの目標は、以下のとおりです。
- 目標5 ジェンダー平等を実現しよう
- 目標8 働きがいも経済成長も
- 目標10 人や国の不平等をなくそう
- 目標13 気候変動に具体的な対策を etc.
現時点でSDGsに取り組んでいないお菓子メーカーは、事業継続や将来性の観点も踏まえ、できるだけ早く取り組みを始める必要がありそうです。
【まとめ】取り組み事例を参考にすることから始めよう
今回は、お菓子メーカーにおけるSDGsの現状や取り組み事例などを解説しました。ここでご紹介した内容は、基礎情報の一部です。
これから本格的にSDGsに取り組む場合は、ぜひ複数のお菓子メーカーの企業ホームページなどもチェックしてみてください。