中小企業のSDGs取り組み状況は?会社でできることって何?

2015年に国連サミットで採択されて以来、SDGsは世界中で取り組みが進んでいます。2019年頃まで日本におけるSDGsの認知は遅れていましたが、今や状況は一変

SDGsの認知度は高まり、取り組みに乗り出す中小企業が増えつつあります。そこで今回は、SDGsを取り巻く中小企業の取り組み状況や、実情について見ていきましょう

中小企業の取り組み状況

一般財団法人日本立地センターの調査によると、2018年の段階でSDGsを認知している中小企業は全体の15%程度でした。

それが2020年になると、SDGsを認知している中小企業の割合は、約50%まで増えたという調査結果が出ています

また、帝国データバンクが2020年に実施した調査では、SDGsの意義を理解した上で取り組んでいると回答した企業は全体の約24%でした。

その一方でSDGsの意味を理解していない、あるいは理解していてもまだ取り組んでいないと回答した企業は、約47%という結果も出ています。

SDGsは、2030年までに達成すべき具体的な目標を掲げた、世界共通の概念です。

2020年時点における企業間での認知度が約半分、積極的に取り組んでいる企業が約25%という事実を鑑みると、日本が2030年までにSDGsの目標をクリア出来るか否かは、これからの中小企業の努力にかかっているといえるでしょう。

中小企業の具体的な取り組み事例

SDGsの意味や重要性を理解した上で、実際に自分たちに何ができるのか具体的なイメージが湧かないという人も多いでしょう。

SDGsには17の目標および169のターゲットが設定されており、現在取り組みに参加している中小企業は、それぞれの分野で出来ることから始めています

最初から大きな目標を掲げるのではなく、スモールスタートで構わないのです。以下では中小企業が会社でできることの例として、実際の取り組み事例をご紹介します。

三藤株式会社(製造・販売業)

大阪府吹田市にある三藤株式会社は、SDGsへの取り組みをアピールするバッジやワッペンの製造・販売を手がけています。

公益財団法人地球環境センターをはじめとする関連団体からの依頼を受け、再生紙やペットボトルを再生利用したポリエステルなど、持続可能な再生素材を製品の材料に採用しているそうです。

また、パキスタン・中国にある提携先工場では、賃金アップにも取り組むことで、持続可能な労働力の確保、ひいては子どもたちの教育環境整備にも貢献しています。

株式会社山翠舎(建築業)

株式会社山翠舎は長野県長野市に拠点を構える建築業者であり、腕利きの職人が多数在籍しています。

同社では職人の技術を最大限に活用して、解体される古民家から再利用可能な木材資源を取り出すことに成功しました。

これによって本来廃材として焼却処分される木材の量が少なくなり、二酸化炭素排出量の削減に貢献しています。

また、古民家から取り出した木材は「古木」というブランド価値があるため、古木を利用した新たな設計・建築業務の受注にもつながりました。

職人技術の伝承によって後継者を育てることで、持続可能な事業としても評価されています。

つばめタクシー(旅客運輸業)

つばめタクシーは、熊本県人吉市で営業している従業員数100名程のタクシー会社です。

同社では「親孝行タクシーサービス」と呼ばれる取り組みを実施しており、遠方に住む親が乗車するタクシー料金を、子どもがある程度負担出来るようになっています。負担の割合は、利用者の任意で設定可能です。

日本では、しばしば高齢者が運転する乗用車の交通事故がニュースでも取り上げられており、その度にさまざまな意見が飛び交う事態となっていました。

環境・教育・食料といった問題が注目されがちなSDGsですが、この親孝行タクシーサービスは、高齢者の移動手段を確保しやすくすることで免許返納率向上の効果が期待されています。

高齢者の事故による死亡率の低下引きこもり抑制による認知症予防が狙いです。

【まとめ】SDGsの取り組みは、スモールスタートから!

世界的な取り組みと聞くと規模が大きく感じられますが、実際のSDGsは地道な取り組みの積み重ねです。

国が取り組めばそれで終わりではなく、中小企業や個人の協力が必要とされています。自社の得意分野で協力できる小さなことから始めてみてはいかがでしょうか。